I. 音声変化の全体像:起きやすい場所と単語
[5] 頻出する表現
「誰でも知っているはず」と、英語ネイティブが無意識に思っているような頻出表現も
音声変化が起きがちです。
こうした頻出表現は大きく分けると次の3つのグループになります。
1. 句動詞とイディオム
2. チャンク表現 (定型表現、決まり文句、よく使う言い回し)
1. 句動詞とイディオム
句動詞で典型的なのは「動詞+前置詞」。学校でもいろいろと習いましたね。
基本的な動詞と前置詞の組み合わせで、
まとめて一語のように発音される音のカタマリになりがちです。
イディオムとは、文字通りに解釈しようとしても意味がとれない言い回し。
音声変化に耳が慣れていれば、知らない句動詞やイディオムを使われたときでも
前後の話しの流れ(文脈)から、それがどのような単語の組み合わせか
素早く推測できるようになります。
省エネの起きている句動詞やイディオムで、ネイティブならば当然知っていても
学校ではあまり習わない例をいくつか聴いてみましょう。
Hey we’re late. (Step on it)!
All right, all right, I admit it…I made a mistake.
You don’t need to (rub it in).
He gets pretty upset when his girlfriend (lashes out at him).
<文意>
- 「遅刻だぞ。もっと(車を)飛ばせよ!」
Step on it. 自動車のアクセルを踏んで(step on)スピードをあげろ、ということ。
- 「わかったよ、認めるってば。僕が間違いを犯したってこと。しつこく言わないでくれよ。」
to rub it in (聞きたくない不愉快なことなどを)わざわざ繰り返して言う
- 「ガールフレンドに食ってかかられると彼って結構、気が動揺するのよ。」
lash out at someone 食ってかかる、つっかかる
2. チャンク表現 (定型表現、決まり文句、よく使う言い回し)
どの言語でもそうですが、英語でも実際に話すときには頭の中で単語を1つ1つ並べて
文章を組み立てるわけではありません。
ある程度前もってグループ化した単語の集まりを、
いくつか連ねていってセンテンスを作ります。
このグループ化した単語の集まりの1つひとつをチャンクと呼びます。
時には短いセンテンス全体がチャンクとなっていることもあります。
チャンクも、当然知っているものとの前提があるのでラクして発音して音声変化が起きがちです。
チャンクの例をいくつかあげます。
As a matter of fact… (実を言えば、実際のところ)
On the other hand… (いっぽう)
Got to run. (もういかなくっちゃ。)
ではこれから、頻出する音声変化の14のパターンを聴いていきましょう。
次のページに進んでください。