音声変化ミニ講座[4] 文の出だし(文頭)

I. 音声変化の全体像:起きやすい場所と単語

[4] 文の出だし(文頭)

英語では文の出だし(文頭)に重要な情報が詰まっていることはご存知かと思います。

最初の4,5語くらいが、いわば、センテンスの背骨の部分です。
動詞まで、あるいはその動詞の行為の対象となる目的語のあたりまでです。  

文頭を聞き逃すと、いくら残りの部分がわかっても 全体としては当てずっぽうの理解になってしまいます。

それにもかかわらず文頭では音声変化が起きがち。
日常頻繁に使われる文章の構造パターンというのは限られているので
そうとう曖昧な音であってもネイティブなら理解できるからです。

「読めばわかる簡単な文が聞き取れない」というのは、
文頭の聞き逃しや聞きちがいが、最大の原因といってもよいほどです。

では、例文を聴きとってみましょう。文頭の特に聞き取りにくい部分を(??? )に入れてあります。

(Why don’t you) sit down?

(Did she really) say that?

(It wasn’t) your fault.

(Is he always) like that?

(Did it all) work out?

(What did you think of her)?

(I’m on) your side.

(Where can I) meet you tonight?

<解説>

1. (Why don’t you) sit down?  座ったら?

Whyで始まる否定疑問を使って「~しませんか?~したらどうですか?」と提案するパターン。
学校でも習いますね。よく使うだけに全体にモゴモゴとあいまいな発音です。
(疑問詞は機能語でなく内容語ですがこのようにしばしば音声変化を起こします。)

2. (Did she really) say that?  彼女ホントにそんなこと言ったの?

did she は d’chee あるいは chee という音になりがち。

3. (It wasn’t) your fault.  君のせいじゃないよ。

出だしの It では、i  の音は非常に弱いか消えるのが普通です。
そして t がかろうじて聞こえるか聞こえないか程度のことが多いです。
この例文の文頭で大切な情報は「(君のせいでは)なかった」という wasn’t の部分。
ですから、wasn’t に重心を置いた発音になっています。

4. (Is he always) like that? 彼っていつもあんなふうなの?

出だしの Is では、i  の音は非常に弱いか消えるのが普通。
この例ではほとんど消えて [z] のみが残っています。
いっぽう、he の h も消えてしまうので、Is he がつながって [zi:] という音になります。

5. (Did it all) work out? すべてうまくいったかい?

Did it all の3語がつながって、音声変化を起こしています。
Did の D はカタカナの「ディ」と「リ」の中間のような音、it の T は「ド」 と「ロ」 の中間のような音で弱く発音。

6. (What did you think of her) ?  彼女のことどう思った?

What の語尾の T は消えています。did you は圧縮して ju または ja という音です。
of her は her の H が弱くなってこの2語がつながり [əvər] という音です。

7. (I’m on) your side.  私はあなたの味方よ。

I は、音声変化すると二重母音が単母音に近くなり、さらに弱まると[ə]近くなります。
なので I’m は [əm] になってしまいます。
さらに  I’m の m と on がつながっているので、全体で「’ムォン」 といった感じの音です。

8. (Where can I) meet you tonight? 今晩、どこであなたの会えるの?

Where は軽く[weə] 、省エネが進むと [wər] に近い音になります。
can I は kナイ。  can は軽い省エネで[kən]、省エネが進むと[k’n]となります。

どの文頭もネイティブにとっては、リラックスしていくと自然にこうなる音声変化です。
話す速度も、まったく普通の日常会話のスピードです。

たとえば、What did you という文頭で、きちんとていねいに発音して、次にリラックスして
発音してもらうと、こんなふうに省エネに変わります。

さて、あなた自身は上の<解説>を読んでみて、どう感じましたか?
「なんかメンドウくさいな」という感想ですか?
それとも「単純なことの寄せ集めなんだな」と思いましたか?

大切なことは、先に音声変化の起きる仕組み(解説で取上げたようなポイント)があって、
それから音があるのではない。 ということです。

そうではなくて、先に現実の音声変化が存在する。
そして、同じタイプの音声変化をまとめて聴けば、短期間で耳も慣れてくるし、
おのずとその背後にある省エネの起きる仕組みにも気づく、 ということです。

では、I. 音声変化全体像の最後のページに進みましょう。

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