音声変化ミニ講座[11] 語頭のTH

II. 音声変化の14のパターン

このセクション II では、音声変化を14のパターンに分けました。もっとも頻繁に耳にするタイプの音声変化で、最低限知っておきたいものを取りあげています。

モゴモゴと聴きとりにくい部分の大半では、この14のパターンのどれか、あるいはいくつかが混ざって働いています。音声変化の度合いは人によってもっと強いこともありますが、まずはこのレベルの音をしっかりと把握することが基本です。それぞれのパターンの音を何度も聴き、出来る範囲で真似をしながら耳に焼きつけてください。

【パターン6】 語頭のTHは弱くなったり前の語に影響されて別の音になったりする

語頭にくる th は、その単語がセンテンスの中に出てくる場合でも、
文頭にある場合でも一般的に弱くなりがちです。

まず文頭の例を聞いて見ましょう。

(There are) things that money can’t buy.

(That’s why) I don’t want to talk to him.

2番目の例など、That’s だけ取り出して聞いたのでは、非常に聞き取りにくいです。
that’s とも it’s ともとれます。

ネイティブでも、ここだけ聞いたらわかりません。
また、そのような聞き取りができる必要もありません。

That’s why という定型的な言い方を知っていること、
このセンテンス全体の成り行き(文脈)から逆算して確認することがポイントです。

最初に文頭を聞いた瞬間に・・・

「That’s why だろうな」と、推測し、センテンスを聞き終わった時点で
「やはり That’s why で全体が意味をなす」と確認するというプロセスです。


さて、前の語の語尾の音に影響される th のパターンには、いろいろありますが
ここでは3つ、頻出するもので特に聴きとりにくいパターンを取り上げます。

次の2つのセンテンスで、この3つのパターンが登場します。
th の含まれる部分を聞き取ってみてください。

He can do (better than this).

(When’ll they) ever have time to relax?

1番目の例では better than では er の音の後の th が、than this では N の音の後の th が変化しています。
文字には書き表わしにくいのですが、あえて表記してみるとこんな感じです。

better than ⇒ better ‘an
than this   ⇒ than dis

2.番目の例では when’ll (=when will) they と L の音のあとの th が変化。 これも表記しにくい音。

when‘ll they ⇒ when’ll dey

この 3つの th の発音方法も述べておきます。

自分で、この省エネ発音を使って話す必要は特にないかも知れませんが、 自分でも、かなり似た音が出せるようになると、その音が脳にストックされやすくなり 耳にしたときにも瞬時にわかるようになります。

その意味で、リピーティングの練習はたいへん価値があります。

<発音方法>

-er + TH

TH を発音する時点で舌先を上の歯の裏側で軽く弾くか、
THの所定位置**に持って行きながら軽く弾く。

**THの発音は「舌先を上下の歯で噛む」と教わったかたもいるかも知れませんが、これはおかしいです。
口の形だけ見ると、舌が上下の歯にはさまってはいるが、噛んでいるわけではありません。

THの発音の要領は、

1. 上の歯の歯先に舌先を軽くあてる。舌先のほんの数ミリの感じでよい。下の歯からのプレッシャーはまったくない。
2. 息を強めに出しながら、上歯の下側をツルッと軽くなでるようにして舌先を口の中に引き戻す。歯と舌の間を押し出される
摩擦の音がTHの音。

これだけです。

省エネ発音の場合は、上の歯の裏の下のほうや、上の歯先のあたりを、弾くことで TH とすることも多いです。
THは摩擦音とされますが、この場合は破裂音とも言えます。


N + TH 及び L + TH

この二つは舌の動きが基本的に同じなのでまとめて説明します。

N は、本来は舌先を上の歯と歯茎の境目あたりに押しつけて発音する音です。
L は、舌先は N よりは少し下、上の歯の裏です。
どちらも次に TH の音がくる場合は TH とお互い影響しあって次のような省エネ音になります。

(1) N/L を発音する時点で舌先を TH の舌先の位置(上の歯の下端に軽くあてられた状態)に 前もって置いてしまう。気分的に TH の発音準備をしてしまう。

(2) 舌先よりやや内側を上の歯の裏側に押し付けて N/L を発音。

(3) そのまま th も発音。
  → TH は N に似た粘った D のような音になる。
   → TH は 軽いD のような、軽いLのような音になる。

以上、語頭で省エネ発音がおきやすい th でした。
次ページではリエゾンをとりあげます。

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