II. 音声変化の14のパターン
このセクション II では、音声変化を14のパターンに分けました。もっとも頻繁に耳にするタイプの音声変化で、最低限知っておきたいものを取りあげています。
モゴモゴと聴きとりにくい部分の大半では、この14のパターンのどれか、あるいはいくつかが混ざって働いています。音声変化の度合いは人によってもっと強いこともありますが、まずはこのレベルの音をしっかりと把握することが基本です。それぞれのパターンの音を何度も聴き、出来る範囲で真似をしながら耳に焼きつけてください。
【パターン1】 Water ウォーラー、little リルルのT (T が 軽く弾いた D の音、弾音になる)
次の二つの water の発音を聴き比べてみましょう。
最初が省エネして音声変化が起きたT の音、2番目はTをはっきりと破裂させた音です。
Water が「ウォーラー」と聞こえる点、「ミニ講座~その3」でも取上げました。
カタカナの「ラ、リ、ル、レ、ロ」と「ダ、ディ、ドゥ、デ、ド」の音を混ぜたような音です。
皆さんにもおなじみの音だと思います。
省エネの感触をつかむために、まずは、きちんと破裂させる
2番目の water をマネして発音してみましょう。
T の舌先の位置は カタカナの「ラ」や「ダ」よりも、もっと上、
上の歯と歯茎の境目あたりです。
破裂させるときの強さは「タ、テ、ト」よりもずっと強くしましょう。
舌先を強く押しつけて空気の流れを完全に止めてパッとはなします。
そうやって、強い破裂をさせる本来の T を 発音してから、
今度はラクをするために軽く弾くだけで発音すると、自然にこの音になります。
T の音声変化は、実に頻繁に使われます。
T という音は、きちんと破裂させて本来あるべき音で発音するには、
相当エネルギーがいる音。 しかも、よく登場する音だからです。
このミニ講座では、T のこの音声変化を
「Water ウォーラー、little リルル のT (軽く弾く D になるT)」と呼ぶことにします。
(専門的には「弾音化した T」とか「フラップ T (flap T)」と呼ばれます。)
今度は little で同じことをやってみましょう。
T の音の違いをマネしてみてください。
最初のサンプルが音声変化した T の little。
2番目が、T をきちんと破裂させた本来の T の littleです。
T をはっきり破裂させると余計なエネルギーが要るのが実感できると思います。
もういくつか聞いてみましょう。
できれば、プレイボタンをクリックする前に
どのような音になるのか、先に予想してみてください。
自分で発音してみるのもよいです。
それから実際の音を聞き、予想した音と同じかどうかチェックしてみましょう。
later
But I don’t know.
digital
That’ll be nice.
But I や That’ll のように2語にまたがって、この T の音声変化が発生することがよくあります。
そうすると、単語と単語の境目が余計わかりにくくなって、ひとつのカタマリに聞こえてきます。
この音声変化のパターンはスペリングでみると下の条件で発生します。
(この条件をわざわざ覚える必要はないです。でも知っていると、頭の中で整理するのには役立ちます。)
- 「母音+T+母音」 または「母音+T+ L」
water, little, later, ButI, digital *, That’ll
- digital の tal の部分はスペリング上は a が入っているが音は
[tl] なので 「母音+T+ L」の形です。
- アクセントの無い音節(弱音節)
obtain (手に入れる)という語の場合 obTAIN と T のある音節にアクセントがあるので この省エネは起きずに T は強く破裂させる。