英語のニュースと映画のリスニングではどちらが難しいのでしょうか。
もちろん、どちらにも固有の難しさがあります。
ニュースが難しいというのは難しめの語彙が多いのと、長めのセンテンスや、多少複雑な構文がたくさん使われるからです。でも、これは今の日本の英語教育の範囲内です。つまり学校英語とその延長の、いわゆる「実用英語」(ビジネスや海外旅行で使う英語など)の学習をしっかりとやり、基本語彙を身につけ、市販のリスニング教材やニュースの実物を使って耳を鍛えれば充分理解できるようになります。 習得すべき内容は資格テストとも関連が深いです。たとえば英検準1級レベルの語彙は、新聞を読んだりニュースを理解するのに絶対必要な語彙と言えます。
いっぽう映画の聴き取りが難しいのは、今の日本の英語教育の中でほとんど表立って取り上げられないカジュアルな口語表現と省エネ発音が多用されるからです。
ニュースがほぼ100%わかる人でも、映画は、ものによってはお手上げ状態、 10%もわからないということも珍しくはありません。資格テストで言えば、TOEICが満点でも英検一級でも映画を楽しむにはまったく力量不足なのが普通です。
ここで勘違いすると損なのは、映画を聞き取れるようになるには、まずTOEICや英検のリスニングで高いレベルをクリアしなければならないのか、と思い込んでしまうことです。
映画のリスニングを、TOEICや英検が高レベルになって、ニュース英語が聞けるようになってから初めて真剣に取り組むもの、いわばリスニング学習の最終ゴールのように位置づけてしまうことです。
ニュースがまったく問題なく理解できて、英語ネイティブとの1対1のコミュニケーションでも問題がない。 そして英検1級とかTOEIC満点とか、すごい。そういう人が、映画となるとガタガタ。 だから映画を聞き取れるのは英検1級のさらに先、TOEIC満点の先、と思ってしまうのです。
でもこれは大間違い。なぜこのような大間違いがまかり通るかというと、実際に映画を聞き取れる日本人があまりに少ないからです。あまりに少ないんで、映画を聴き取るために何をしていったらいいのか経験の蓄積もない。ノウハウも確立されていない。なので、「ニュースさえ聞けないのに映画に挑戦なんて、、、」という勘違いが生まれるのです。
映画の聴き取りが難しいのは、上に書いた通り、カジュアルな口語表現や省エネ発音が多用されるから。言い換えると、映画は音声的には上級ですが構文的にはせいぜい中級。音声は省エネ発音を学び、語彙(口語表現)も、今まで習ってこなかったのだから、ただ覚えればいい、それだけのことです。
あなたが英語を学ぶ目的によって、まず先に聞きとれるようになりたいのは映画なのかニュースなのかをハッキリ決め、それに沿ったリスニング学習の目標と計画を立てましょう。映画もニュースも、と欲張るより、長い目で見れば、そのほうがずっとよい結果を生みます。