映画のスクリプトや字幕が間違いに思える?

英語のリスニングを鍛えるには、聞きとれなかった部分を文字で確認する作業が
とても大切。これをやらないと、苦手なタイプの音はいつまでも聞き取れないままで
終わりがちです。(どういう音が苦手なのかをゴマカシなしに明確にするにはディク
テー ション
が一番です。)

この点、映画や海外ドラマのスクリプトが、今ではインターネットで無料で手に入るの
は本当にありがたいですね。DVDも英文字幕が見れるし。。。また、市販のスクリプト
本 (シナリオ本)がいろいろあって、ていねいに語彙や表現、背景知識の説明がして
ある。いたれりつくせりです。

でもこうやって手に入れたセリフと、俳優が実際に口にしているセリフとが、どう考え
ても違って聞こえる、ということってありませんか?

(俳優が省エネ発音を使っているせいで、モゴモゴしたカタマリに聞こえて文字と
似ても似つかない、という こともあります。これは省エネ発音を覚えるしかあり
ません。)

さらに、スクリプトをネットで検索したけれど、同じ作品に対して何種類ものスクリプト
があってどれを選んだらよいかわからない、ということってありませんか?

実はこの辺、みんな関連があるんです。入手したスクリプトのテキストやDVDの
字幕と、実際の作品のセリフが違うのにはこんな理由があります。

DVDの英文字幕の「間違い」の理由

DVDの英文字幕は、ネイティブが実際の音声を聞きながらそれを書き起こして
作成します。こうやって作られた文字テキストはトランスクリプト(transcript)と言い
ます。DVDの英文字幕は、元来が 「耳の不自由なネイティブに意味を伝える」 ことが
目的で作られるので、同じ意味の別の言葉に代えたり、長すぎる表現は短めのもの
に変えたりしています。なので、不正確になるのはしかたありません。

ネットで入手できるスクリプトの「間違い」の理由

ネットで検索して入手できるのはいわゆるスクリプトと、映画好きの素人の有志が
実際の音声から書き起こしたトランスクリプトの両方です。

トランスクリプトはDVD字幕の場合と違い、なるべく正確に書き出そうとしています。
その点はありがたいのですが、なにせ有志がボランティアでやっているので徹底さに
欠け、聴き間違いやちょっとした勘違いがあります。

スクリプトには、実はいくつものタイプがあって呼び方もバラバラのことがあり
ややこしいです。スクリプトを検索したことがある人は、時にはひとつの作品にいくつ
ものスクリプトがあって、さまざまな注記がついているのに気づいたと思います。

効率よく、なるべく正確なスクリプトをあなたが見つけられように、ちょっと詳しく
説明しておきます。


まず、原作の台本(シナリオ)があります。これはオリジナルのストーリーの台本、
または既存の小説だのお話しだのを映画化するために作った台本です。
その後の流れを簡単に表わすとこうなります。


内容
呼び名のバリエーション
 原作の台本(シナリオ)。
会話とト書きからなる。
Screenplay, Original Screenplay
 
 手直しするたたき台First Script, First Draft, Draft Script,
Original Script
 
 何度も書き直す。2nd, 3rd, 4th…と
次々とバージョンができる。
Revised Draft, 2nd Draft Script, 3rd Draft,
6th Rewrite, Final Draft
 
 台本の最終バージョン完成Final Script, Final Draft
 
 撮影用台本。場面ごとに番号がつき
細かいテクニカルな指示も書かれている
Shooting Script, Shooting Draft, Final Draft
 
 しばしば撮影しつつ変更。
次々とバージョンができる。
2nd Shooting Script, Revised Shooting Draft
 
 撮影用台本の最終バージョンFinal Shooting Script

正確さから言うと、撮影時の最後のバージョンであるFinal Shooting Scriptが一番です。
でも、これが結構見つからないんですねえ。そういうときは上の表で、なるべく下の
ほうにあるものが実際のセリフに近くなります。

また、 Final Shooting Scriptであっても不正確であるのは、撮影時に俳優がアドリブし
たりするからです。

市販のスクリプト本の「間違い」の理由

市販のスクリプト本の多くは、Final Shooting Script をもとにしています。
映画館で見るときの日本語字幕も、このFinal Shooting Script を参考に各国の
字幕翻訳家が作成します。)ですから、本番でのアドリブなどは含まれず、不正確になる
ことがあります。時には、Final 以前のversion の Shooting Sciprt をもとにすることもある
らしいです。そうすると、セリフの一部が違っている、というのでなく会話のやりとり自体が
かなり違っちゃうこともあります。

「スクリーンプレイ・シリーズ」のセリフは製作・販売している会社がネイティブを使って
実際の作品から書き起こしているようなので頼りになると思います。
⇒ 右のスクロール画面。

こう見てくると、一番正確さを期待できそうなのは、スクリプトでは
“(Revised) Final Shooting Script”と注記されているものか、それにできるだけ近いもの。
また、素人が作品の実物から書き出したトランスクリプトが結構いけるかも、という
ところに落ち着きそうです。

無料スクリプトサイト

Drew’s Script-O-Ramaスクリプトやトランスクリプトでは最大級のサイト。
The Internet Movie Script Database映画はジャンル別に多数。各映画の情報の一番下にスクリプトへのリンクがある。
SimplyScripts.comテレビドラマのスクリプトが充実しているのが嬉しい。
AwesomFilm.com映画のスクリプトがたくさん。
http://divxtitles.com/各国語の字幕で映画、テレビドラマとも大量の字幕が入手可能。”Movie Name” にタイトルを入力、Language を Englishにして検索。 ヒットしたタイトルをクリックしたら、
“Edit/Synchronize subtitle” を選択。下のボックス内に字幕が表示されるので、コピペする。
Screenplays for You映画のスクリプトがたくさん。
Daily Script映画、テレビの両方あります。

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