「聞き流す」だけ?多聴にも、いろいろある

リスニング能力を身につけるためには、たくさんの英語を聞く多聴と、
少なめの素材を徹底的に聞く精聴の両方が必要です。

それぞれの聴き方の特徴と目的があります。

多聴とは文字通り、大量の英語を聞くことですが、
「英語のシャワーを浴びる」とか言って、「ひたすらたくさん」聞いているだけだと、
場合によってはほとんど無意味、苦痛になってくることもあります。

私も以前、ほとんど意味が分からずFEN(Far East Network:米軍極東放送網。今のAFN)を
毎日2時間くらい聞いていたことがあります。断片的に拾える単語が少しは増えたくらいで、
半年くらいたっても目立った進歩は何もありませんでした。

英語の音自体が好きだったので苦痛ではありませんでしたが、今振り返ると、単なる時間の無駄でした。

毎日聞き流すだけで話せるようになるとウタっている教材があります。
(私も、この教材についての意見を時々求められます。)

また、「わからなくても、とにかく我慢して大量に聞き続ければ、ある日突然わかる
ようになる」という説もあります。

本当でしょうか・・・。

実はこれはトリッキーなんです。
一概にイエスともノーとも言えない。

では、多聴にはどんな種類があって、それぞれの目的はなんなのでしょうか。
大きくまとめると5つあります。

多聴の種類

1. 英語の語順で、音声から英文理解をするための多聴

レベル:リスニング入門~初級者

素材:自分の読解力と同等(読めばわかるレベル)か、それ以下のレベルの英文。
速度は遅め。

内容:英文を英文の語順のままいちいち日本語に直さずに理解するスキルを習得。
読解訓練と違うのは、情報が音声として入ってくる、というプラスアルファの
チャレンジがあること。

「ある日突然わかるようになった」というのは、このタイプの多聴訓練で起きやすい。
読んでもわからない素材で「とにかく我慢して」聞き続けるのは無意味に近い。

2. 英語のリズムと音をインプットするための多聴

レベル:リスニング初級者、発音矯正の必要な人

素材:英文のレベルは特にこだわらない。速度は遅すぎなければ何でも構わない。

多聴内容:「英語の音」のイメージができていない場合に役立つ。必ずしも内容を理解
する必要はないので、自分の読解力より多少は上のレベルの英文でも構わない。
長期間行う必要はない。ある程度感覚がわかってきたら、発音練習やリピーティング、
シャドーイングなどで、英語のリズムと発音を自分のものにする。

3. 大意把握訓練のための多聴

レベル:リスニング初級者~中級者

素材:自分の読解力と同等かほんの少し上の素材。速度はなるべくナチュラルスピード。

多聴内容:多読・速読訓練を耳で行うようなもの。会話よりはニュース記事やコメンタリーのような長めのセンテンスで次々と情報を積上げていく素材のほうが効果大。
構文が複雑になってきても、英語の語順で英語のまま、話されるスピードに遅れずに
理解するよう自分を鍛えないと意味がとれないからです。

構文力や語彙力のレベルにより、かなり細かいところまで把握できる場合と
おおざっぱで当て推量に近くなっていく場合がある。現実世界では推量が
必要な状態は必ず起こるものだが、当て推量は避けたい。
当て推量のクセがつくと、きちんと聴けばわかるものもいい加減ですます
悪い癖がつきかねない。

4.表現や語彙をインプットするソースとしての多聴

レベル:リスニング中級者~上級者

素材:内容のある、興味深い素材

多聴内容:多読と多聴を通じて何度も出くわす英語らしい表現を自然にインプットする。
アウトプット量も増やすことで自分でも使えるようになっていく。
リスニング初級者でもできないことはないが、初級者は習得すべきスキルが
他にもたくさんあるので、多聴の持つ表現・語彙のインプットソースとしての役割は
比重が軽くなる。

5.自分自身を英語環境に置くための多聴

レベル:リスニング初級~上級

素材:自分の読解力と同等かやや上の素材

多聴内容:大意把握が少なくともなんとかはできるレベルの英語を聞く時間を少しでも
増やすことで、英語環境・英語体質を作る。意味がほとんどわからない英語の
音声をただ流しているのは無意味。

「聞き流すだけ」はどうなの?

さて、「聞き流すだけ」で「ある日突然、英語が口から飛び出す」教材について。

私はこの教材を実際に聞いたことはありません。(テキストを一冊見たことはあります。)
使ったことのある人も身近にいません。 この教材のサイトの説明と、効果が上がったという顧客の方々がサイトの動画で実際に話している英語を聞いた上での推測と意見にすぎませんのでご了承下さい。

この教材で効果を上げうる人は、ただ受身で「聞き流し」ているだけでなく
聞いているものを自分なりに料理しよう、という態度がある人だろうと考えられます。
なぜなら、積極的に自分で口から出すこと(アウトプット)を続けなければ絶対に
話せるようにはなれないからです。

同じレッスンを何度も繰り返して覚えてしまうほどになった。覚えた英文を頭の中で反芻するのが
習慣化した。覚えた英文を思い出して口に出したり、少し変えてみたり、また音声を使ってリピーティングやシャドーイングをしたりしている。

こういったことを続けていけば、「わかりやすく話してくれる英語ネイティブと
込み入った内容でない会話を続ける」レベルにはなりうる教材ではないかと推測します。

この教材で得られる多聴のタイプは、上の1、2ということになるでしょう。
日本語音声も入っているそうなので、読解力の低めの人や、英語の音自体に
まだ慣れていない人には助けになるはずです。

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