「よそ行き発音」 と 「省エネ発音」

言葉の基本は音。
だから「正しい発音」を習得することが、 たいへん重要なわけですが、
「正しい発音」と言っても 大きくわけて二種類あります。

「よそ行き発音」「省エネ発音」の2種類です。

「よそ行き発音」というのは、私たちが中学校以来習ってきた発音のこと。

「基本的発音」とか「スペリング通りの発音」、「発音記号通りの発音」とも言えます。

どんな場面で使っても問題のない、「折り目正しい」発音です。

この「よそ行き発音」に問題があると、もう英語学習のあらゆる面で苦労したり
効率が悪かったりします。

ありがたいことに、身につけるのは割かし簡単です。

ではもう一つの省エネ発音とはどんな発音でしょうか?

「省エネ発音」。これは音声変化を起こした発音のことです。
ラクをして話したいときに使われる発音です。

音を変えたり、 発音しなかったり、単語をつなげたり、つなげた部分の音を
変えたりすることでラクをするのです。

どういう時にラクをしたいかといえば、まず、早口になった時。
一語一語丁寧に発音していたのでは、早口で話すのはキツイ。
だから音声変化を使ってはしょります。

もう一つ、ラクをしたいときは、リラックスした状況の時。
早口の時よりも、このリラックスした時のほうが、使われる省エネ発音の数も多く
音声変化の度合いも強くなります。

その意味で、省エネ発音は「タメグチ発音」と考えてもいいと思います。

映画や海外ドラマの英文字幕を見るとすごく簡単なセリフが聞き取れない、
というのは省エネ発音を知らないためのことが多いです。

さて、学校で習った発音は「よそ行き」、省エネ発音は「タメグチ」と書きましたが、
この二つ、日本語でよそ行きに使う「です・ます調」と、カジュアルは「タメグチ」ほど、
はっきり境界線が引けるものではありません。

実は学校でも、すごく基本的な省エネ発音は習います。
中学で教わる省エネ発音の例をあげると・・・

don’t you は ドンチュー (donchu)
did you は ディッジュー (didju)
miss you は ミッシュー (misshu)

こうした省エネ発音は、使わないで話すと、かえってガチガチとした奇妙な
英語になりがちです。

あと、先生によっては「want toは ワナ (wanna)、going to は? ガナ (gonna)に
聞こえる」、という省エネ発音を「番外編」みたいにして教えてくれます。

このふたつは省エネの度合いが結構高いにもかかわらず、すごく使うし、
人によっては、多少フォーマルな会話でも使います。
そして、wannaやgonnaのような省エネ発音が、他にもたくさんあるのです。

ワナと聞こえるのが want to、ガナと聞こえるのが going to だと教わったり、
どこかで知ったりしなければ、あなたがこれを「いつの間にか」わかるように
なっている確率、「たくさん聞いているうちに自然に」わかるようになっている
確率は相当低いのではないでしょうか?

他の省エネ発音も同じこと。「知っていれば」わかるのです。

省エネ発音は、使いすぎたり、省エネの度合いを強くしすぎたりすると、
カジュアル度がどんどんと進み、次第にだらしのない印象になっていきます。でも、実生活のカジュアルな会話で使われているのだから、そして映画や
海外ドラマの中でも実生活のままに使われているのだから、慣れておかなければ、
いつの間にか聞き取れるようになるものではありません。

日本にいる英語ネイティブは、日本人に省エネ発音で話すとわかってもらえないんで
「よそ行き発音」中心に話します。

だから、ネイティブとあなたが一対一で話してるときは相手の言ってることが
わかるのに、ネイティブ同士が話しだすと、とたんにわからなくなる
、という
現象が起きます。

また、英語のニュース番組などでニュースキャスターの話すことは
結構わかっても、街の人のインタビューになるとわからなくなる
のも同じです。
これは、インタビューされた人がカジュアルな口調で話すと省エネ発音だらけに
なるからです。

省エネ発音学習は、学校教育でも、そして その延長の「実用英語」教育では
カバーしてません。

(「実用英語」というのは、ま、ビジネスとか海外旅行・海外生活で実際的な
役に立つ英語、新聞が読めてニュースが聞ける英語、と大ざっぱに言えます。)

「よそ行き発音」も「省エネ発音」も、「注意さえすれば自分でも、少なくともかなり
似せて発音できる」 ようになれば充分
です。

そこまで行けば、あなたの話すことを(音の面では)相手がわかってくれるし
相手の言うことも聞き取れるようになるからです。

ただ、省エネ発音は、カジュアルな場面で相手の言うことを理解するためには
聞き取れることが必要ですが、 あなた自身が使いすぎるのはあまり
おススメしません。状況や、あなたの英語の総合力とのバランスを見て使わないと、
なんとも不思議な話し方になってしまうからです。

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